18
Sep
2006

KUROSAWA vs RENOIR

donzoko.jpg
先日フランス人の友人Mレーヌさんからの電話。

Mレーヌ「見つからないDVDがあるんだけど......」
   私「!!!!!!」(すぐに、ぴ〜んと来ました。)
   私「私!私!私が持ってる!......うっうっうっ」

泣いて許されるようなことではございません。
だって彼女が貸してくれたのは、思い出せないほど昔なんですもの。
しかもその時点で、未だ観ておりませんでした............
ごめんね、Mレーヌ。ず〜っと、ず〜っと気になってはいたのです。

今週、必ず持って行く約束をして慌てて観ました。
そしたら、すご〜く面白かったのです。
もっと早く観て、すぐにお返しすべきだったよ〜。

何故に、黒澤明ジャン・ルノワールの2枚組なのかと言うと、
ロシアの作家ゴーリキイの戯曲『どん底』を
この2大巨匠がどちらも映画化していたのであります。
それを一度に見比べられるという、とっても美味しい企画ものDVD!だったのです。

どちらが面白かったか?
これはね、難しい質問です。

なんと言っても、「やばい!返す前に急いで観なきゃ!」と一気に両方観たわけです。
でもそれが、また相乗効果というか、見比べる面白さの発見だったというか。

まずは、もちろん字幕がなくてもわかるのだ!ということで黒澤から。
最初はね、え?日本語しゃべってますよね? って言うぐらい
皆さんが何をおっしゃってるのか、わからなかったのです。

薄暗い、汚いほったて小屋の中で、みんながわめき散らしてる......
「寝るかも....寝ちゃうかも私......」って思い始めた頃
不思議なおじいさんが現れるんです。

このおじいさんの一言一言が、胸に沁みてきて、いつの間にか
どっぷり黒澤の世界にはまり込んでしまいました。

舞台は初めから最後まで、ずっと同じ。
日本語なのにときどきさっぱりわからなかったりする。
なのに、飽きさせない。
すごいです。素直に面白かったのです。

その余韻も冷めぬうち、今度はルノワール先生です。
(こちらは気休めに英語字幕を付けて観ました。)

黒澤版に比べると、ずっと華やかで、核となる人物を明確にしていて
舞台設定もあちこち移動するし、最初からずんずん引き込まれて行きました。

でも、これって同じ話なのかしら??と言う疑問が。

中心人物をしっかり据えているから、わかりやすいけど
黒澤版に比べて、極端に登場回数が減ってしまったその他大勢の皆さんは大丈夫?

しか〜し!
大事な台詞はちゃんと残しているので、個々それぞれがちゃんと生きている。

しっかり同じ話なのです。

結末は随分違うし、ディテールも結構違います。
でも、面白かったんだな。ルノワール版も。

1本しか観ないよりずっと多くのことを楽しめてしまいました。

あ、三船敏郎が、ジャン・ギャバンなのね....なんてことだけでも十分面白いワケで。

Mレーヌさん、本当にありがとう。
やっと観れました。このDVD素晴らしかったです。私も欲しいっ!

追記:
このDVDはアメリカのTHE CRITERION COLLECTION(クライテリオンコレクション)
という何やら素敵なレーベルからリリースされておりました。
チェック、チェック!要チェックであります。
# by gaspard | Journal | - | comments (0) | -